☆ ☆ ☆

とりあえずオフィーリアには客室で寝てもらうように言った俺は、自室に戻って窓の外を睨みつけていた。

「何者なんだ。オフィーリアは?」

小さくそう呟き光の失った目を浮かべる。
 
あの白銀の髪と言い、守護石を身につけているといい、彼女には何か秘密があるように思える。

そして一番気になるのが右目に紅い瞳を持ちその瞳に魔法陣を浮かべた男だ。

「紅い瞳……魔法陣」
 
オフィーリアには言わなかったが俺にはその男に心当たりがある。

それはたまに夢で見ることもある程にだ。
 
辛かったあの日々、禍々しい魔力の波動。そして……何もかも奪われたあの光景――

「はあ……」
 
俺は心を落ち着かせるため息を吐く。
 
とにかくオフィーリアを手伝って行けば奴らと会うことになるのは間違いないだろう。

あの男が一度興味を持ったものを簡単に逃がすとは思えない。

必ずオフィーリアの何かを狙って再び現れるはずだ。
 
もしそのときが来たら必ずこの手で殺してやる。家族の敵を必ずこの手で――

「待ってろよ……道化師!」

俺は歯を噛み締めて拳に力を込めた。
 
それぞれの思いや願いを共に抱きながら俺たちは知る由もない。

この出会いが互いの運命を大きく変える事になるなどと。