「どうしたの?」

「いや、ちょっと目眩がしただけだ。……それでレッドアイを探していたのか」
 
俺の言葉に小さく頷いた彼女は言葉を続ける。

「違ったなら違ったで別の方法で彼を探すよ」
 
どうやら彼女が抱えている問題は俺が思ったよりも深刻な物のようだ。

しかし彼女が抱えている問題に俺は関係ない。でもほっとくわけにも。

「前にあそこを通り掛かった時ある集団に襲われたことがあるの」

「ある集団?」
 
彼女の言葉に首を傾げる。
 
ある集団って?

「どうやら私をレッドアイだって勘違いして襲ったみたいなのよ。返り討ちにはしたけど、彼等があそこでレッドアイを待ち伏せしていたってことは、レッドアイはきっとあそこを通るのよ」
 
だからあそこで見張っていたわけか……って、おい! その集団ってまさか俺が捕まえる予定だった通り魔じゃないのか?!

俺は額に手を当てて肩をがくっと落とす。
 
はあ……あの宝石の情報を手に居入れる唯一の手掛かりが。

まあでも、これで通り魔の事件は解決された事になるからそれはそれで良しとするか。

「お前……馬鹿か? あんな細くて薄暗いところをレッドアイが通るはずないだろ?」

「えっ?! そうなの!?」
 
この子……見た目によらず少し常識知らずのところがあるんだな。

初めて見た時は落ち着いた雰囲気を醸し出していて、クールな美少女かと思っていたけど、やはり人は外見で判断してはいけないようだ。
 
自分の考えに納得が行かず落ち込んでいる彼女を見て軽く笑う。
 
そして彼女の前に歩いて行き俺はある提案を持ちかけた。

「なあ、その紅い瞳を持つ人物を探すのと、レッドアイを探すの手伝ってやろうか?」

「……あなたが? 魔力を無駄に使う人になんか頼めません」

こ、こいつ……ミリィと似たような口調で言いやがる。
 
やっぱり美少女ほど毒舌な性格でもしているのだろか?

「こう見えて俺は探偵職を生業としているんだ。情報集めなんてお手なもんだぜ」

「探偵を?」
 
俺の言葉を不審に思ったのか彼女は目を細めて俺を上から下まで見下ろす。

しかし俺はそんなもの気にせず彼女に手を差し出し名乗る。

「俺はブラッドだ。お前は?」
 
差し出された手を掴むか彼女は迷う。だが意を決して俺の手を彼女は取った。

「……オフィーリアよ」
 
彼女――オフィーリアはそう名乗った。