「レッドアイを探し出すってことは家族の敵討ちでもするのか?」

「違うわよ。私はただ紅い瞳を見せてもらいたいだけなの」

「紅い瞳を?」
 
レッドアイの名の由来はその紅い瞳から来ている。
 
俺はレッドアイとして活動する時は、普段右目に付けている眼帯を左目に付け替え、右の紅い瞳を表に出して仕事をこなすんだ。

もちろん同じ眼帯だとバレかねないから柄や色は変えている。
 
最初は名前なんて存在しなかったが、その瞳がルビィの宝石の如く淡い輝きを放って見えることから紅い瞳――レッドアイと呼ばれるようになったんだ。

ちなみにその名は気に入っていたりもする。

「紅い瞳を持った奴なんてそこらじゅうにたくさん居るだろ?」
 
と。冗談のつもりで言ったら。

「居るわけないでしょ? 紅い瞳を持つ人なんて」
 
と。真剣は表情で言い返されてしまった。

「確かにそうそう居ないな」
 
そんな真剣に応えなくても良いのに……。せっかく可愛い顔をしているのに勿体無い。
 
彼女の言う通り紅い瞳を持つ人なんてそうは居ない。

その紅い瞳を持って居るとしたら数百年前に滅んだと言われる魔人族(まじんぞく)くらいだ。
 
また俺みたいなオッドアイを持つ人間だって居ないだろう。

「お前の家族を殺したのが右目に紅い瞳を持った人物だったのか?」

「そうよ。その紅い瞳の中には魔法陣が浮かんでいたの」

「瞳の中に魔法陣……だと?!」
 
彼女の言葉を耳にした時、一瞬だけ右目が疼いた気がした。

「っ!」

咄嗟に右目を抑え後ろに後退る。