「すまない、オフィーリア。覚悟をしておいてくれ」
「……」
私は顔を伏せて小さく頷いた。
✩ ✩ ✩
荷造りを終えた私は最後にブラッドの顔を一目見ようと、彼の部屋へと入る。被っていたフードをおろし彼の側に寄る。
「ブラッド……」
ブラッドはまだ目を閉じて眠っている。私が行く前に目が覚めなくてよかったと思いながら、彼の頬にそっと触れる。
「ブラッド……本当にありがとう」
最後にあなたの笑顔をもう一度見たかった。でもその願いが叶いことはもうない。これからブラッドの記憶の中から、私という存在は消え去る。
彼を守るためにその手段を取るのは仕方がないことだ。私のことなんて忘れて、別の愛した人と一緒に未来へと歩んで行ってほしい。
クラウンのことは……私に任せて。
「でも……最後に一つだけ」
私はそっと目を閉じて愛しい人の唇に最後の口づけを落とした。その拍子に涙が一滴溢れ、ブラッドの頬に伝った。
「私も……あなたが好きです。心から……愛しています」
涙を流しながら優しく微笑んで告げる。
「あなたが私を忘れてしまっても、私はあなたを覚えています」
ブラッドの手を握りぎゅっと目を閉じる。
「本当は……あなたの側に居たい! あなたと一緒に未来を歩みたかった!」
握ってきた手を放し、私は首からかけていた守護石を取ってブラッドの首に掛ける。
「ブラッド。あなたにこれをあげます。私にはもう必要ありませんから」
ブラッドの記憶の中から私の存在が消えても、私がここに居たということは残したかった。だからこの守護石をあなたにあげます。必ずあなたを守ってくれます。
「さようなら……ブラッド。本当に……本当に愛しています!」
ブラッドから離れる最後もう一度彼に口づけを落とし、涙を拭った私はお兄様とレーツェルと共に屋敷を出た。
「この街に忘却(オブリヴィオン)を掛ける。本当に良いんだな?」
「大丈夫です。もう思い残すことはありません」
お兄様は【そうか】と呟くと、ルークスに手をかざした。
これでブラッドの記憶の中から私の存在は消える。大丈夫……あなたが側に居てくれたおかげで、私は強くなることが出来た。
あなたと過ごした大切な思い出とこの思いがあれば、私は前に進むことが出来る。もう……死ぬのなんて怖くない。
「行くぞ。オフィーリア」
「はい、お兄様」
最後にルークスを見つめ、ブラッドたちに背を向けてお兄様と共に私は森の中へと消えていった。
「……」
私は顔を伏せて小さく頷いた。
✩ ✩ ✩
荷造りを終えた私は最後にブラッドの顔を一目見ようと、彼の部屋へと入る。被っていたフードをおろし彼の側に寄る。
「ブラッド……」
ブラッドはまだ目を閉じて眠っている。私が行く前に目が覚めなくてよかったと思いながら、彼の頬にそっと触れる。
「ブラッド……本当にありがとう」
最後にあなたの笑顔をもう一度見たかった。でもその願いが叶いことはもうない。これからブラッドの記憶の中から、私という存在は消え去る。
彼を守るためにその手段を取るのは仕方がないことだ。私のことなんて忘れて、別の愛した人と一緒に未来へと歩んで行ってほしい。
クラウンのことは……私に任せて。
「でも……最後に一つだけ」
私はそっと目を閉じて愛しい人の唇に最後の口づけを落とした。その拍子に涙が一滴溢れ、ブラッドの頬に伝った。
「私も……あなたが好きです。心から……愛しています」
涙を流しながら優しく微笑んで告げる。
「あなたが私を忘れてしまっても、私はあなたを覚えています」
ブラッドの手を握りぎゅっと目を閉じる。
「本当は……あなたの側に居たい! あなたと一緒に未来を歩みたかった!」
握ってきた手を放し、私は首からかけていた守護石を取ってブラッドの首に掛ける。
「ブラッド。あなたにこれをあげます。私にはもう必要ありませんから」
ブラッドの記憶の中から私の存在が消えても、私がここに居たということは残したかった。だからこの守護石をあなたにあげます。必ずあなたを守ってくれます。
「さようなら……ブラッド。本当に……本当に愛しています!」
ブラッドから離れる最後もう一度彼に口づけを落とし、涙を拭った私はお兄様とレーツェルと共に屋敷を出た。
「この街に忘却(オブリヴィオン)を掛ける。本当に良いんだな?」
「大丈夫です。もう思い残すことはありません」
お兄様は【そうか】と呟くと、ルークスに手をかざした。
これでブラッドの記憶の中から私の存在は消える。大丈夫……あなたが側に居てくれたおかげで、私は強くなることが出来た。
あなたと過ごした大切な思い出とこの思いがあれば、私は前に進むことが出来る。もう……死ぬのなんて怖くない。
「行くぞ。オフィーリア」
「はい、お兄様」
最後にルークスを見つめ、ブラッドたちに背を向けてお兄様と共に私は森の中へと消えていった。



