あの日、お兄様と再会した私は今までのことをすべて聞いた。
 
あのとき私だけを逃したお兄様は、命からがら何とかクラウンたちから逃げ延びた。しかし怪我が酷く倒れているところをある人に助けられたらしい。
 
お兄様はその人から手当を受けて、しばらく一緒に暮らしたそうだ。その人から魔法や剣術も学んで、六年が経った頃にお世話になった人の家から出て、私を探す旅に出た。
 
でも私に関する情報が少なくて探すのに苦労したみたい。ようやくこのルークスを訪れて、私とブラッドが一緒に街を歩いているのを目撃した。
 
いつ頃からこの街に居るのかは教えてくれなかったけど、私の側に居るブラッドのことを知り陰ながら見守ってくれていた。

そして今回の事件で姿を現し、ブラッドたちに力を貸してくれた。

「ごめんな、オフィーリア。あのときもっと早くあの場に駆けつける事が出来ていたら、この人を守れたかもしれないのに」

「お兄様。自分のことを責めないでください。お兄様は何も悪くありません。悪いのは全部……」
 
私のせいだ

「……オフィーリア。話がある」

「何ですか?」
 
お兄様は私の隣まで歩いて来ると言う。

「このまま俺と一緒にここを離れるぞ」

「……えっ」
 
お兄様の言葉に私は目を見開いた。お兄様と一緒にここを離れる? いったいなぜ?

「今回のことでこの人にはたくさんの迷惑をかけた。だからこそ、もうこの人から離れるべきだ」

「で、でもお兄様! 私は――」

「前がこの人を愛しているのは知っている」

「っ!」
 
お兄様はそっと私の手を握ると諭すように言う。

「だからこれ以上、愛している人を守るためにもお前はこの人から離れるべきだ」

「……っ」
 
お兄様の言葉が重くのしかかる。お兄様の言う通りこのままブラッドの側に居続けたら、彼をまた傷つけてしまう。今度こそ私を守ったせいで死んでしまうかもしれない。