ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.1

「ブラッド!」
 
俺は目の前に姿を現したクラウンに手をかざす。

「光の精霊よ、その力を集結させ、目の前の者の体を穿て、光の槍(ライトランス)!」

「闇の精霊よ、黒の精霊よ、その力を集結させ、その力をもって目の前の者を穿て、黒い槍(セイブルランス)!」
 
互いの魔法がぶつかり軽い爆発が怒る。
 
爆風がレオンハルトの髪をなびかせながら、俺は煙の中から姿を現す。俺を見てホッとしたレオンハルトは、同じく煙の中から姿を現したクラウンを睨みつける。

「なるほど。どうやらあの時よりもその右目を使いこなしているようだね」

「お前によって埋め込まれたこの右目を使って、俺はお前を必ず殺す。そしてオフィーリアを助け出す!」

「ふっ……。君はあの時と同じように真っ直ぐな目で俺を見てくる。恨みと憎しみと怒りの感情がこもったその瞳で。でも──」
 
クラウンはニヤリ笑うと聞いてくる。

「本当に君はその目のことを分かっているのかな?」

「……どういう意味だ?」

「それは──」
 
クラウンが口を開いた時、オフィーリアを取り囲んでいる魔法陣が輝きを増した。

「っ!」

「どうやら始まったようだね」
 
オフィーリアの周りから膨大な魔力を感じて一歩後ずさる。

「この魔力は……」
 
星の涙が内に秘めている魔力を一気に開放しようとしている。その魔力の中には闇魔法の魔力も感じとれた。

するとオフィーリアの体がどんどん壁の中へと引き込まれていくことに気がつく。

「オフィーリア!」
 
俺は彼女のもとへと向かおうとする。

「行かせないよ」
 
しかしクラウンが俺に向かって黒い鎖(シャドウチェイン)を放つ。

「うわっ!」
 
黒い鎖が両足に巻き付き、俺はそのまま勢い良く前へと倒れ込んだ。

「君は大人しく見ているんだ」
 
このやろう……! 
 
俺は黒い鎖が巻き付く両足をばたつかせる。だが頑丈に巻き付いているせいか、簡単には外れてくれない。

「足掻いても無駄だ。その鎖は俺が解かない限り外れることはない」

「このっ!」
 
俺はクラウンに手をかざす。

「焔の翼!」

「だから無駄だ」
 
焔の翼は黒い守りによって弾かれる。

「くっ!」

俺はオフィーリアへと目を戻す。
 
するとオフィーリアを取り囲む魔法陣から、黒い帯みたいな物が出ていることに気がついた。

「なんだ……あれは? 手?」
 
それは黒い帯みたいにも見えるが、真っ黒な手の形にも見えた。そしてそれは星の涙へと伸びている。