ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.1

するとオフィーリアを取り囲むように魔法陣が姿を現す。

「何をするつもりなんだ……」

「オフィーリア……!」
 
オフィーリアはクラウンの魔法で眠っている。もう目を覚ますことはないとアルファは言っていた。

しかし──

「オフィーリア! 俺だ! ブラッドだ!」

「……」

「くっ!」

オフィーリアに俺の声が届かないのか!

「無駄だよ、ブラッド君。彼女が目を覚ますことはもうない」

「それでも!」
 
オフィーリアに俺の声が届くと信じている!

「君は確か……レオンハルト君だったかな?」

「なぜ俺を知っている?」

「君の活躍ぶりは耳に届いていてね。随分と俺たちの邪魔をしてくれたようで」
 
その言葉にレオンハルトは嫌そうに微笑むと言う。

「あまり嬉しくないな。殺したいほど憎んでいるやつに、俺のことが耳まで届いているなんて」

「俺は君の怒りを買うようなことをした覚えはないけど?」

「いや、ある!」
 
レオンハルトは鋭くクラウンを睨みつけた。

「お前はセシルを殺した!」

「セシル?」
 
【セシル】と聞いたクラウンは首を傾げたあと、思い出したように軽く微笑むと言う。

「なるほど、そういうことか。君はもしかして、ブラッド君の妹である彼女が好きだったのかな?」

「ああ、そうだ」
 
こいつよくこういう場でそう言い切れるよな……。

「それで好きな人の敵討ちってところかな?」

「そういうことだ。だからお前には覚悟してもらうぞ!」
 
レオンハルトはクラウンに手をかざす。

「光の精霊よ、その力をもって目の前のやつの体に風穴をあけよ、光の弾(ライトバレット)!」
 
レオンハルトの背後に弾丸の形をした光の弾が姿を現し、クラウンに向かって素早く飛んでいく。
 
クラウンもそれに対抗するためか、黒い玉を作り出すと光の弾に向かって放つ。

「光に対抗するなら闇魔法だ」
 
光の弾と黒い玉が衝突する。