「神の断罪!!」
 
光の魔法陣がアルファに向けられる。魔法陣から伸びる両手がアルファの体を包み込もうとしたとき、突然光の魔法陣にヒビが入り粉々に砕かれる。

「な、なに?!」
 
何が起こったのか分からずアルファに目を戻した時だった。頭上から一枚の真っ白な羽が舞い降りると、それはアルファを守るように真っ白は守り(シールド)を張った。

「ま、さか……」
 
その光景にアルファはある場所へと目を向ける。

「なぜ、あなたがここに居るのですか!」
 
アルファが目を向ける先に見上げた時、俺とレオンハルトは目を丸くした。
 
真っ白に光輝く翼を広げ白いワンピースを来た女の子が、目を閉じ祈るようにこちらへと降り立つ。

「なぜ……シエル様」
 
シエルと呼ばれた女の子は、目を開くと俺たちを見つめた。
 
しかし俺たちが驚いたことは別のことだった。

「せ、セシル……?」
 
目の前に立つ彼女の──シエルの顔立ちはセシルと瓜二つだった。

「ど、どういうことだ? セシルなのか?!」

「いや、そんなはずない! だってセシルは!」

死んだはずだ。俺はこの目でちゃんと見たんだ。

「アルファ! 良かった無事で」
 
シエルは嬉しそうにアルファに抱きつく。

「ど、どうしてあなたがここに? クラウン様から外に出るなと」

「だって、暇だったんだもん! 暇つぶしがてらこの辺りを飛んでたら、アルファの魔力を感じたから来ちゃった」
 
シエルはニコニコしながら言った後、俺たちに目を戻す。

「ねえ、そこのお兄さん。さっきの魔法はあなたの?」

「だ、だとしたらどうする?」
 
まさかこの女の子が神の断罪を無効化したのか? そんなことが出来るのか?

「ふ〜ん……じゃあ、アルファを殺そうとしたのよね?」
 
シエルは首を傾げてそう聞いてくる。

「ああ、そうだ」
 
俺の言葉に笑う彼女はアルファの前に立つ。

「だ、駄目です! シエル様! あなたの魔力はまだ」

「平気だよ! 大丈夫だよ!」
 
シエルは俺に手をかざすと言う。