「焔の呪い(フレイムカース)!」
 
焔の悪魔が俺の後ろに姿を現すと、そのままアルファの体を包み込む。

そして呪いの紋章を刻んだ時、アルファの体を業火が襲った。

「あ、あっっついぃぃ!!」

その熱量はマグマを遥かに超える程のものだ。人造人間のアルファでも、耐えるのはむずかしいだろう。
 
床で転がるアルファに攻撃の隙きを与えないよう、俺は次の魔法をアルファへと放つ。

「業火(ヘルファイア)! 雷の斧(サンダーアッシュ)! 氷の雨(グラースレイン)! 光の──」

「やめろ、ブラッド!」
 
俺は無我夢中で攻撃をし続けた。
 
アルファに攻撃をしていく中で俺は何も思うことがなかった。

いつもなら、オフィーリアを傷つけたこいつらに怒りを覚えているところだ。なのに今はそれすら感じなかった。
 
ただ俺の中であるのはたった一つだけ。

【感情を捧げろ──】
 
その言葉が頭の中で響いた時だった。

「聞いているのかブラッド!!」

レオンハルトが俺の手首を力強く掴んだ。

「レオンハルト……」

「俺の声が聞こえないのか! やりすぎだ!!」
 
その言葉に俺は腕を払い言い返す。

「そんなの知るか! 今のうちにこいつを殺しておかないと、またいつオフィーリアを狙って現れるか分からないんだ!」

「いい加減にしろ! 俺たちの目的を忘れたのか!!」

「っ!」
 
レオンハルトの言葉に俺は軽く息を吐く。

「ごめん……レオンハルト」

「一刻も早くオフィーリアさんを助けたい気持ちは分かる! でも焦っても仕方ないだろ?」

「……」
 
唇を強く噛んで拳に力を込める。そしてオフィーリアを見上げた。
 
レオンハルトは俺の横を通り過ぎると床に倒れているアルファの側に寄った。

「アルファって言ったな。大丈夫か?」

「……はは。君、馬鹿……なの? 敵の心配している暇あったら……自分の心配したら?」

「俺はこの通りブラッドのおかげで怪我はしていない。だからお前を心配しているんだ」
 
アルファは目を丸くすると軽く笑う。