「ミューズが言うには地下へと繋がる道は、大聖堂の大広間にあるみたいだな」

「……あいつら大丈夫だよな?」
 
オフィーリアを助け出すためにミューズとナインは俺に力を貸してくれた。二人が居なかったらオフィーリアを見つけるのには時間が掛かっていただろう。

しかしいくら二人でもベータとガンマを相手にするのは難しい。
 
ベータはともかく俺はまだガンマに会ったことがない。ただオフィーリアの口から名前を聞いただけだからな。

だからこうやって戦えば言いと、的確な助言をすることが出来ないんだ。

「あいつらは優秀だ、必ず止めてくれる」

「……そうだな」

「俺たちは俺たちのやるべきことがある。それを必ず成し遂げるためにも、今は目の前のことに集中しろ」

「ああ!」
 
こういう時のレオンハルトは本当に強いと思う。ちゃんと周りが見えているし、俺の心情も分かってくれている。それはそれで凄く助かるし安心できるところもあるんだ。

「ブラッド。そろそろだ」

「えっ? 何が?」

「さっき言っただろ? お前のその右目を使えって」

「…………いったい何に?!」
 
えっ?! 俺なんかレオンハルトに言われた? まったく覚えがないんだが!?

「お前の右目は魔力探知が出来るんだろ? なら大広間に誰が居るのかくらい分かるだろ?」

「……つまりこの右目を使って大広間に居る人数を探れと? そういう意味か?」

「ああ」
 
俺はこめかみをピクピクさせながら笑顔で問いかける。

「あのさ、さっきそんなこと一言も言わなかったよな?」

「お前なら言わなくても伝わるだろ?」

「こ、こいつ!」
 
ああ……本当にレオンハルトのこういうところは真似できない。と言うか絶対に真似したくない! 

言わなくても意思相通できるとか本気で思っているのかこいつは!

「もう少し分かりやすく説明してくれよ。そんなんじゃいざって時に、ミューズたちと連携なんて取れないぞ」

「ミューズは俺が何も言わなくても行動してくれるし、ナインは俺がやろうとしていることに合わせてくれるから、連携が取れないなんてことは絶対にない」

「お前ら優秀か?!」
 
それはお互いに心から信頼し合っている証拠なのだろうけど、俺には何年掛かっても絶対に無理だ。

これが魔道捜査一課に選ばれた連中なのかと思ったら背中に寒いものが走った。
 
今度から怪盗レッドアイとして行動する時は、この三人には要注意だ。

……レオンハルトにはもうバレてるんだけどさ。