目を閉じていた彼に色が戻ると、握っていた剣から手を離してその場に倒れ込む。
「だ、大丈夫ですか?!」
私は慌てて倒れ込んだ彼に近づく。
「……っ」
彼に近寄った時、髪の色が白銀だったことに気がついて足を止めた。
「白銀の髪……」
その色は紛れもないエアの末裔を現すもの。でも私はこの人を知らない。
「なぜ……お前のような人間がここに居る……」
「えっ?」
彼は目が見えないのか手探りで何かを探し始める。
「今直ぐここから立ち去れ。ここはお前が居て良い世界じゃない」
「どういう意味ですか?」
彼の指先が剣に届くとそれを杖代わりとして立ち上がろうとする。
立ち上がった彼は前髪の中から私の顔を見上げた。その瞳の中に私の姿が映っているのが見える。しかしそんな彼の目には光が失われていた。
やっぱり目が見えないのだろうか?
「それを今のお前に話すわけにはいかない。約束はまだ果たされていないからな」
「約束……」
それは以前レーツェルが言っていた、エアと守護者たちが交わした約束のことだろうか?
「約束が果たされるまで俺はここで時を待たねばならない」
「時って?」
じゃあこの人は約束が果たされる時までずっと一人でここに居るの? 目が見えていないというのに。
「ずっと一人で待っているのは辛くないんですか? だって……あなたは目が見えていないのに」
「確かに俺は目が見えない。でも目が見えなくても感じるものはある」
「感じるもの、ですか?」
「たとえこの目が見えなくても、愛しい人の姿が見えなくても、彼女の笑顔は脳裏に浮かぶんだ」
彼は優しく微笑むと天を仰いだ。私も彼に釣られて空を見上げる。
「今はこんな世界だが俺は必ず取り戻してみせる。あの美しかったこの世界を、みんなと過ごしたあの日々を」
彼は剣を地面から抜くと私に目を戻す。
「だからお前も自分の心が思うままに進め」
「心が思うままに?」
その言葉に私はそっと星の涙に触れる。
「お前だったら必ずここに来ることが出来る」
「……それはどういう――」
そのとき世界が大きく揺れた。地面の中に何かがいるように地上が大きくうねりをあげる。
「な、なに?!」
「ちっ……思ったより早いお目覚めだな!」
彼は剣を構えると私の手を掴んだ。
「だ、大丈夫ですか?!」
私は慌てて倒れ込んだ彼に近づく。
「……っ」
彼に近寄った時、髪の色が白銀だったことに気がついて足を止めた。
「白銀の髪……」
その色は紛れもないエアの末裔を現すもの。でも私はこの人を知らない。
「なぜ……お前のような人間がここに居る……」
「えっ?」
彼は目が見えないのか手探りで何かを探し始める。
「今直ぐここから立ち去れ。ここはお前が居て良い世界じゃない」
「どういう意味ですか?」
彼の指先が剣に届くとそれを杖代わりとして立ち上がろうとする。
立ち上がった彼は前髪の中から私の顔を見上げた。その瞳の中に私の姿が映っているのが見える。しかしそんな彼の目には光が失われていた。
やっぱり目が見えないのだろうか?
「それを今のお前に話すわけにはいかない。約束はまだ果たされていないからな」
「約束……」
それは以前レーツェルが言っていた、エアと守護者たちが交わした約束のことだろうか?
「約束が果たされるまで俺はここで時を待たねばならない」
「時って?」
じゃあこの人は約束が果たされる時までずっと一人でここに居るの? 目が見えていないというのに。
「ずっと一人で待っているのは辛くないんですか? だって……あなたは目が見えていないのに」
「確かに俺は目が見えない。でも目が見えなくても感じるものはある」
「感じるもの、ですか?」
「たとえこの目が見えなくても、愛しい人の姿が見えなくても、彼女の笑顔は脳裏に浮かぶんだ」
彼は優しく微笑むと天を仰いだ。私も彼に釣られて空を見上げる。
「今はこんな世界だが俺は必ず取り戻してみせる。あの美しかったこの世界を、みんなと過ごしたあの日々を」
彼は剣を地面から抜くと私に目を戻す。
「だからお前も自分の心が思うままに進め」
「心が思うままに?」
その言葉に私はそっと星の涙に触れる。
「お前だったら必ずここに来ることが出来る」
「……それはどういう――」
そのとき世界が大きく揺れた。地面の中に何かがいるように地上が大きくうねりをあげる。
「な、なに?!」
「ちっ……思ったより早いお目覚めだな!」
彼は剣を構えると私の手を掴んだ。