ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.1

激しい痛み、体が燃えるような熱さが私の体を襲う。

「うぅっ!」
 
激しい痛み、体が燃えるような熱さが私の体を襲う。

「覚醒はもう少しってところか……」
 
ガンマは大剣を鞘にしまうと、私からレーツェルを没収する。

「諦めろ。お前に勝ち目はねぇよ」

「け、剣を返して!」
 
私は目に涙を浮かべる。
 
こんなところで捕まるわけには行かない。ここで捕まったらブラッドを助けることが出来ない。ブラッドを……私が殺してしまうかもしれない。

「そんなの……いや!」
 
初めて愛した人を、心から求めている人を殺すなんて絶対に嫌だ!

「まだ……伝えていないことが、ある、のに!」
 
星の涙の魔力が暴走している影響なのか、私の髪は白銀へと戻ってしまった。

「ブラッドに……好きだって言ってない!」

私は体を引き釣りながら、少しずつ前に進んで行く。

「いくら足掻いても無駄だ。お前の人生はここまでだってことだ」

「あなたに……私の人生を決められてたまるものですか!」
 
私は力強くそう叫ぶ。

「人は一生懸命行きているんです。その中には善者と悪者だって居ます。それでもみんな一生懸命生きているんです!」

「お前の言う通り人間はみんな懸命に生きているさ。だが生きることをやめた奴ら、諦めた奴らだって居る」
 
ガンマはしゃがみ込むと言う。

「だからクラウン様はそんな生きることをやめた奴ら、諦めた奴らのために新しい世界を作ることを望んでいるんだ」

「それでもエアが作ったこの世界は、善者と悪者が居ることで成り立っているんです。それをなくしたら、世界の均衡なんて保たれるはずがない!」

「だからクラウン様がみんなを導くんだ」
 
そんなの間違っている。そう叫びたいのに意識が薄れていく。

「これで最後だ」

「うっ!」

ガンマの力強い拳がお腹に入る。そしてそのまま私は意識は途絶えた。