ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.1

あいつらと繋がっている可能性があるなら、ギルに調べてもらった方が良い。

「じゃあ、マナティ。さっそく君を警察本部に送るよ」

「えっ? 送るって?」
 
俺はマナティに手をかざす。

「な、何するの?」

「何するって? 瞬間転移だよ」
 
俺は警察本部をイメージしマナティに瞬間転移の魔法を掛ける。

「これで一気に行けるの?」

「まあな。でもちょっと酔うかもしれないからそれは勘弁してくれ」

「えっ?! ちょっとま――」
 
マナティの言葉を聞かず俺は瞬間転移でマナティを警察本部へと贈った。

「レオンハルトはどんな顔をするかな?」
 
直接レオンハルトの元に送ったから後は色々と察してくれるだろう。

「さて……」
 
俺は閉じていた右目を開き魔力を注ぐ。

「特に嫌な感じはしないか……」
 
そう思いながらも頬に汗が流れる。

「はあ……落ち着け」

こんなところで立ち止まっている場合じゃない。俺には待っていてくれる人がいるんだから。

「オフィーリア……」
 
オフィーリアの姿が脳裏に浮かび笑みが溢れた。
 
目の前の扉に体を向けドアノブに手を掛けて扉を前に押す。

「やあ、怪盗レッドアイさん」

「っ!」
 
扉を開いた瞬間、部屋の中にはたくさんの人がいた。俺は苦笑しながらある人物に声を掛ける。

「こんにちは、ローレン。いや……レギオ!」

「ふっ……よく分かりましたね」
 
レギオは目を細めるとニヤリと笑う。

「大体のことはマナティから聞いた。お前たちの目的は最初から俺をここへ誘き出すことだったんだろ?」

「さすが表では探偵、裏では怪盗の仕事をされているだけあります。最初はあの小娘を攫って、あなたを誘い出そうとしたのですが、まんまと失敗してしまいましてね」

「っ! ミリィを狙ったのはそのためか!」
 
俺は右目に魔力を込める。

「それが呪われた宝石――紅い悲鳴(クリムゾン・ウルリャフト)ですか」

「……紅い悲鳴?」
 
呪われた宝石? いったい何のことだ?

「おや、知らなかったのですか? あのお方から直々に頂いた物だとお聞きしましたが」

「っ!」
 
【あのお方】と言われ俺の中でクラウンの姿が浮かぶ。

「やっぱりお前たちはクラウンと繋がりがあるんだな!」
 
込み上げてくる怒りを抑えレギオに問う。

「そもそもあなたをここへ誘き出すように命じたのがクラウン様です」

「なっ?!」
 
あいつ自身がか? いったい何を目的として?