オフィーリアが寝ていることを確認した俺は、ミリィの様子を見に下の階へと向かった。

そして部屋に入って直ぐ目の前の光景を目にして、自分が見ている物は幻かどうか問いかけた。

「えっと……レオンハルトがミリィの体を抱きしめたまま眠っているのは、俺の見間違いだよな?」
 
俺とオフィーリアじゃあるまいし、ミリィのことを異性として見ていないレオンハルトが、ミリィのことを抱きしめたまま寝るはずがない。
 
そう、これは夢だ!
 
俺は部屋の扉を閉め直し軽く息を吐いてからもう一度部屋の扉を開けた。
 
幻なら目の前の光景は変わっているはずだ。しかし俺の目に映るのはさっきと全く一緒の
光景だった。

「ま、まじかよ……」
 
いったいこの二人に何があったんだ? レオンハルトだって朝には警察本部に戻ると言っていたのに、安心しきった顔で眠っている。

「まあ、起きるまでこのままでも良いか」
 
きっと二人の間で何かしらの進展があったのだろう。それはそれで嬉しいことだし微笑ましいことだ。

「驚いた二人の顔が見ものだな」
 
内心ニヤつきながら、俺はミリィたちの部屋を後にした。

「さてと、今日は予告状を出しに行って帰って来たら虹の花についての情報を集めて」
 
部屋に予告状を取りに戻った俺は上着を着て外に出る準備をする。

「まだ朝早いし、オフィーリアには何も言わない方が良いかな」
 
でも心配するといけないからとりあえず書き置きだけ残しておくか。
 
出かける事と直ぐに戻る事を紙に書き、それを机の上に置いて俺は屋敷を後にした。

「さて、どうやって予告状を置いて行くかだ」
 
怪盗レッドアイに変装して開店と同時に予告状を差し出すか。それとも人目を避けて、レギオの部屋に侵入し机の上に置いて行くか。
 
選択肢としては二つだな。

「問題はどっちにするかだ」
 
レギオは近々開かれる宝石展示会で、マナティの母親の形見であるルビィの宝石を展示することにしている。そして当日の警備は厳重……。
 
怪盗レッドアイが来るとなると更に警備は厳重化しそうだ。
 
魔法警察の中で最も警戒すべき人物は昨日あった二人だ。
 
まずはミューズ。俺はあいつを道化師の仲間だと疑っている。それもあってあいつの前では下手な動きはとれない。