「言わないなら俺から言ってやろうか?」
 
ずっと口を閉ざしている彼の肩が少し上がる。

「お前のその剣……魔剣だろ?」
 
俺の言葉に彼はさっき以上の反応は見せない。いや、見せないだけで内心では焦っているのかもしれない。

「その魔剣がどういう力を持った剣かは知らない。でもな、そんな物騒な物を表に出すもんじゃないぞ」

エアの恩恵を受けたと言われている魔剣の力は未だ未知数だ。

魔法協会の奴らが先陣きって魔剣の研究を進めているが、表に公表出来る程の事がまだ分かっていないそうだ。

それか分かっていながら公表せず、自分たちだけの物にして魔剣を使って何かをしようとしているのか……。

ただ俺たちでも分かる事があすとれば、この世に存在する魔剣の数がサファイアとマールを含めた計八本と、強力な魔力を内に秘めているということだけだ。
 
魔剣なんて喉から手が出るくらい欲しがっている奴だっている。

魔剣を一本手にした日にゃ、世界征服が出来る可能性だってあるんだからな。

「あなたには関係のない事でしょ? この剣はただの剣よ」

「だと、良いけどな」
 
俺は苦笑しながら彼の様子を伺った。
 
とにかくあいつの持っている魔剣の能力が分からない以上、下手に魔法を放つわけには行かない。

少し荒療治になるがこの魔法で仕留めるしかないか。

「これ以上無駄話をしている暇はないの。これで、終わりよ!」
 
魔剣を構えた彼は高くジャンプをすると魔剣を振り下ろす。
 
その姿を見た俺はニヤリと笑った。

「っ!」
 
俺は彼に向かって手をかざし声を張り上げて叫ぶ。

大爆発(エクスプロージョン)!」

「なっ!」
 
大きな爆発音と共に騒音が響き渡り地面が揺れる。
 
辺りに土煙が舞い俺は大きく息を吐いた。
 
手加減したとは言えやっぱりやり過ぎたか? 

いやでも、相手は魔剣を持っていたんだ。きっとレオンハルトだって分かってくれるだろう。
 
そんなことを考えながら頷いていた時。

「ブラッド!」
 
騒音を聞きつけたミリィが慌てて俺のところに駆け寄って来た。

「物凄い音がしたけど大丈夫?! 怪我とかしてない?」
 
いつも以上に心配されて内心ガッツポーズし、俺はミリィに心配を掛けまいと思い口を開く。

「この通り大丈夫だ。ちょっと手こずったけど、これで通り魔は確保出来るだろう」
 
でもこの辺りの損壊は思ったより酷い……。

レオンハルトが持って来る請求書の額を見るのが怖いな。

あっ……俺ってバレなければいいか。

「ブラッド。早く通り魔を確保しなくちゃ」

「あ、ああ」
 
手加減したとはいえ、生きているかは正直五分五分なところだ。

最悪、遺品と魔剣だけでもレオンハルトのところに届けるか。