「ミリィの気持ちを聞いてようやく理解できた。ブラッドのあの言葉も、自分の気持ちにも」

「だって、レオンハルトはセシルが好きなんじゃ」

「ああ……俺の中でセシルの存在は今も大きい。でも――」
 
レオンハルトはもう一度キスをしてくると私の耳にそっと告げた。

「今はミリィが好きだ」

「っ!」
 
そ、そんなこと至近距離で言われたら心臓が保たないよ! 

「あの誕生日の日、四年振りに再会した時から俺はミリィの事が好きだった」

「そ、そんな前から?!」
 
嘘……だってそんな素振り一度も見せたことないじゃない。

「気持ちを自覚したのは今さっきだから仕方ないんだけど……」

「あっ……」
 
そりゃあ……そうですね。それじゃあ好きだって素振りなんて見せるはずがない。

「気持ちを自覚したら自分の気持ちを抑えられなくて」

「レオンハルト……」
 
レオンハルトは顔を真っ赤にしながらそっぽを向いた。それが可愛くて心臓が小さく跳ねる。

「だから俺からも言わせてくれ」
 
レオンハルトは私の手を握ると私の目を見つめて言う。

「俺はミリィが好きだ。俺の恋人になってください」

「……っ」
 
ずっと思っていたことがある。レオンハルトの恋人になれたら、隣に居られる存在になれたら、どれだけ幸せなんだろうって。
 
でもそれはそうぞう以上に幸せなことで、両手を使っても全部抱えきれない程の物だった。

「レオンハルト」
 
私はレオンハルトの手を握り返し目に涙を浮かべながら応える。

「こちらこそ……私をレオンハルトの恋人にしてください」
 
お互いの気持ちを伝えあった私たちはもう一度キスをかわした。そんな私たちを見守るように、月の光が部屋の中へと差し込んだ。