「た、確かにレオンハルトみたいな人がタイプだって言ったけど、レオンハルトのことは……」
 
今ここで好きじゃないと言えば、この先レオンハルトに一人の女の子として見てもらえるのは難しい。

でも今は――

「ミリィ」
 
レオンハルトは私の側に来ると手を髪の上へと乗せる。

「お前は昔から嘘つくの下手だよな」

「……えっ」
 
嘘をつくのが下手ってどういうこと? どこか分かりやすかった?

「ミリィが嘘をつく時は必ずと言っていい程、俺から目を逸らすんだよ」

「っ……」
 
あ、駄目だ……。

そう思ったとき頬に涙が一滴伝った。

「な、んで……そんなよく見てるかな……」
 
ポロポロと涙が溢れて頬を伝っていく。涙なんて見せたくないのに止めることが出来なかった。

今は何を言っても全てレオンハルトに見透かされてしまうと思ったからだ。

「本当のこと言ってくれないか?」
 
レオンハルトは優しく私の体を抱きしめてくれた。そのせいで私の中で必死に抑えていた物の鎖が解け、一気に気持ちが溢れてきた。

「大好き……だよ。私はずっとレオンハルトが大好きだった!」

「……うん」
 
レオンハルトは私の言葉に耳を傾けながら優しく背中をさすってくれた。

「ずっと小さい頃から大好きで、でもレオンハルトが好きなのはセシルだって知っていたから、私は……!」
 
レオンハルトの背中に腕を回して服を掴む。

「セシルが羨ましくて、抱いちゃいけない感情を一度抱いちゃって……」

「ゆっくりで良い。話してくれ」
 
その言葉に更に涙が溢れた。
 
きっと話したら嫌われる拒絶されると思っていた。

でもレオンハルトはそんな私の気持ちを察したのか、私が言うのを待ってくれている。

それが凄く嬉しくて、私は息を整えてから話し始めた。

「私は……セシルは居なければ良かったのにって……そう思ったの」

「だからあんなに必死になってブラッドとセシルを探していたのか?」
 
私は何も言わず小さく頷いた。

「ミリィはずっと後悔して生きてきたんだよな?」

「うん……」

「だからさっきセシルに謝っていたのか……」

「えっ?」
 
レオンハルトは指先で涙を拭うと私の額に自分の額をくっつける。