「そ、それに私に好みのタイプは!」
 
その先の言葉を言いかけハッとした私は口を噤んだ。

「ミリィ?」
 
私の様子が気になったのかレオンハルトは顔を覗き込んできた。

「っ!」
 
心臓の鼓動が早くなっていくのを感じ私は胸元の服を強く掴む。

「私の好みのタイプは……」
 
私は無意識にレオンハルトの頬に手を伸ばし両手で彼の顔を包み込んだ。

「み、ミリィ?」
 
驚くレオンハルトは目を丸くした。赤くなっているレオンハルトの頬に、私はそっと口づける。

「っ!?!」
 
ゆっくりとレオンハルトの頬から手を放す。

「み、ミリィ……今!」

「私の好みのタイプはレオンハルトみたいな人だよ」
 
私は微笑んでそう伝えた。

【好きな人】とは告げず。

「俺みたいな人……?」
 
レオンハルトは顔を真っ赤にさせる。

やっぱり頬にキスするのはまずかったかな? 

でもこれくらいしないとレオンハルトには女の子として見てもらえないし。

「てことは、ミリィは……俺が好きなのか?」

「……」

レオンハルトの突然の言葉に目を丸くした私は顔を真っ赤にする。

「な、なななな何で?!」

「だ、だってそう思うのが普通じゃないのか?」

「へっ!?」

えっ、そう思うのが普通なの?! もしかして私……間違えた!?

「ミリィの好みのタイプが俺みたいな人なら、ミリィは俺が好きだってことだろ?」

「そ、それはっ!」

ふ、普通そこは【ミリィは俺みたいな人が好きなんだな】って言って、笑うところなんだよ?! 

何で私がレオンハルトが好きだって確定させちゃうの! いや、好きなんだけど!

「わ、私は……」

私はレオンハルトが直視出来ず視線を逸した。

どうしよう……今ここで伝えるべきなのかな?

でもレオンハルトの中では今もきっとセシルの存在はあるはずだ。今の私じゃレオンハルトに思いなんて伝えられない。

まだあの時に抱いてしまった感情のことを話せてすらいない。そんな私がこの場で思いを伝えるなんて……虫が良すぎる。