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「ミリィ? 大丈夫か?」

「う、うん、大丈夫だよ」
 
私は矢が刺さった肩に触れる。
 
軽く包帯が巻かれていることに気が付きそっと息を吐く。こうしてここに居るってことは、助かったってことで良いんだよね?

もしかしてナインが病院に連れて行ってくれたのかな?

「やっぱり……どこか怪我をしたのか?」

「えっ?」
 
レオンハルトの低い声が聞こえ肩が上がる。
 
どうやってここまで戻って来たのかは置いとくとして、どうやらレオンハルトは私が怪我をしていることを知らないみたいだ。

「……実はある二人組に襲われて、ナインって人が助けてくれたんだけど、ナインを狙っている人がもう一人いて、それを知ったら居ても立ってもいられず、気がついたら飛び出してて……」
 
体が震えていることをレオンハルトに知られないように、私は少しベッドの端に寄る。

「それでナインの体を突き飛ばして、私が代わりに矢を」

「っ!」
 
今思えばなんて無茶なことをしたんだと思う。あんなの私が何とかしなくても、ナインだったら簡単に避けられたことだったかもしれない。
 
そう思った時だった。レオンハルトの腕が私に伸びてきたと思ったら、今度は彼の腕の中に私は居た。

「れ、レオンハルト?」
 
レオンハルトは私の体を抱きしめる腕に力を込める。
 
な、何でレオンハルトが私なんかを?! もしかして……怒ってる?

「ご、ごめんね、レオンハルト! みんなにたくさん心配かけ――」

「良かった」

「えっ?」

すると声が涙声になっている事に気がついた。

「うっ……くっ……ほんとうに、無事で良かった」
 
レオンハルトは私の存在を確かめるように髪に顔を埋めた。
 
その行動に心臓の心拍数は上がっていく中、私はあることを思い出して慌てる。

「そうだ! 髪飾りは?!」

「髪飾り?」
 
レオンハルトの腕の中からすり抜け出た私は後ろ髪に触れる。そこにはちゃんとレオンハルトから貰った髪飾りが付いていた。

「よ、良かった……」
 
無事にあることを確認できてホッとする。

「今回はその髪飾りのおまじないは効かなかったんだな」

「そうみたい。でも私はこのままおまじないは、効かなくても良いと思っているの」

「えっ?!」
 
私の言葉に目を丸くしたレオンハルトに慌てて言葉を続ける。