「綺麗……ありがとう、レオンハルト!」

「その髪飾りには願いを込めてあるんだ」

「願い?」
 
俺の言葉にミリィは小さく首を傾げる。

「髪飾りはミリィの身に危険が及んだとき、身代わりなってくれるんだ。俺とブラッドが直ぐに駆けつけられない時、それがミリィを守ってくれる」

「これが私を……。ありがとう、レオンハルト。大事にするね」

「喜んでもらえて良かったよ」
 
良かった……ミリィに喜んでもらえて。突き返されたらどうしようかと思った。

「なんだかこの髪飾りを付けていると、レオンハルトが直ぐ側に居てくれる気がするね」

「っ!」
 
ふいに可愛く微笑むミリイの姿が俺の頬を赤く染めさせる。ミリイに顔を見られないように必死に言葉を探し当てて。

「そ、そうか……」
 
そう言うのが精一杯だった。

✩ ✩ ✩

俺はあの日からミリイを必ず守ると決めていた。なるべく彼女の隣に居てあげたいと思っていた。
 
しかしここ最近、道化師や他の事件が立て続けに起こり、俺はそっちの捜査へと駆り出される事になった。今日も人攫いの事件についての捜査をしていた。
 
そんな中、今現在ミリイの行方が分かっていない。どこを探しても……彼女の情報が得られない。こんなこと初めてだった。

「くそっ!」
 
俺は壁に拳を思い切り打ち付ける。

「何で……どこにも居ないんだよ! ミリィ……」
 
お願いだミリィ! お前まで居なくならないでくれ! もう一度……お前の笑顔を見せてくれ!

「ミリィっ!!!」