レオンハルトの言う通り、通り魔が怪盗レッドアイを探しているのは間違いないようだな。

やっぱり俺に恨みを持っている人物なのか? 

心当たりはいくつか思い浮かぶけど、俺がレッドアイだとバレるわけにはいかない。

ここはひとまず相手の話しに合わせるか。

「レッドアイってあの有名な怪盗だよね?」

「そうよ」

「俺は見たことないけど、レッドアイに何か用事でもあるの?」

「あなたには関係のないことよ。くだらない話しはしないで、私の質問にだけ応えて」

「だからさっき応えたじゃないか」

「……なら、もう一つ聞きましょう」
 
俺は彼の様子を伺いながら右手を小さく構える。

「あなたのその右目を見せ──」
 
その言葉を言い終える前に、俺はフードを被って顔を隠している彼に向かって炎の玉(ファイアーボール)を放つ。

「ま、魔法?!」

怪しい男から距離を取り右手を再び構える。

「まさか詠唱なしで魔法が使えるなんて……」
 
その言葉に軽く笑った俺は自慢げに言う。

「言っとくけど俺は魔法が大得意なんだよ。だから超上級魔法とか簡単に使えるぜ!」
 
と胸を張って言い切ったら。

「魔力を無駄遣いしないで!」

「えっ?」
 
彼は俺に剣を向けるといきなり怒声を上げた。

「魔力は無限じゃないの! ちゃんと考えてから使いなさい!」

彼の言葉に俺はムッとした表情を浮かべた。
 
なぜに説教?

てゆかそもそもそんなこと、こいつにとやかく言われる筋合いないんだけど。
 
そう思った時、彼は俺との距離を一気に縮める。

「なっ!」
 
目を瞬かせると直ぐ目の前にその姿がそこにあり、俺は咄嗟に光の盾を張った。