ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.1

「つ〜ことで、今回のお前はサプライズな」

「さ、サプライズ?」

「せっかく四年ぶりに会うんだ。積もる話もあるだろうし、二人きりの時間を作ってやるよ」

なぜブラッドが急にこんな事を言い出すのか分からなかった。

ミリィとはゆっくり話したいとは思うけど、あいつは嫌がるんじゃないのか? 四年も連絡を一切せず、急に帰って来た相手に良い顔をするとは思えない。

「それにプレゼント渡すなら二人きりの方が良いだろ?」

「別にみんなが居るところでも構わないが?」
 
ブラッドは呆れた顔を浮かべると言う。

「いや……空気読めよ」
 
その言葉に意味が分からず俺は首を傾げる。
 
空気を読めってどういう意味だ?

ブラッドは側に来ると力強く俺の肩に手を置く。

「良いかレオンハルト。これは【ミリィのため】なんだよ」

「み、ミリィの?」

「ここは何も言わず俺に従ってくれ」

「あ、ああ……」
 
ブラッドの言う【ミリィのため】と言うのが少し引っかかるが、このサプライズがミリィのためになると言うのなら、俺は喜んでそのサプライズを引き受けよう。

「それで具体的にはどうすれば良いんだ?」

「それはいたって簡単。俺がミリィを外に誘い出すから、お前は昔よく遊んだ森の奥の泉で待っていれば良い」

「そのあとでミリィに誕生日プレゼントを渡せば良いんだな?」

「そういうことだ。後は二人で話すなりどこかに行くなりして良いぞ」

「それで本当に良いのか?」
 
たったそれだけでの事でミリィが喜んでくれるとは思えないが。

「良いんだよ。ミリィにとってはそれが何より嬉しい事なんだからさ」

「……そうか」
 
ミリィにとっては、か……。なら今日はミリィにとことん付き合う事にしよう。今日は一年の間でミリィにとって大切な日なのだから。