ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.1

「俺の中でミリィは十三歳の姿で止まったままだしな……」
 
四年もあればミリィだって大人びた女性になっている。それに好きな人くらい居るはずだ。

「そう考えると、こういった気持ちのこもったアクセサリーをプレゼントするのはどうなんだ?」
 
やっぱりこういうのは好きな人からの方が嬉しいに決まっている。でもミリィに好きな人が居るか分からなし……。

「さて、どうするか」

とりあえず店の中に入ってみる。

「いらっしゃいませ」
 
中は少し薄暗かったが、俺以外のお客さんはたくさん居た。主に男女のカップルがだが。

「流石にこういう店に男一人は恥ずかしいか」
 
でも仕方がない。ミリィに似合いそうな物を選んでとっとと帰ろう。そう決めて俺は髪飾りが置かれたガラスケースの前に立つ。

「きっと髪はそれなりに伸びているはずだから、髪留めなら喜んでくれるかもしれない」
 
買うのは良いんだが、やっぱり値段はそれなりに高い。でも四年振りに会うわけなんだしここは迷わず買うべきだ。

「どれが良いか……」
 
ミリィならどれも喜んでくれそうだが、せっかくならちゃんと意味のこもった物を渡したい。

「お客さん、何かお探しですか?」

「えっ?」
 
後ろから声が聞こえ俺はとっさに振り返った。いつの間にそこに?

「ここの店の人か?」

「そうですよ。私がここのお店のオーナーです」
 
とても若々しいオーナーだな。歳は俺とそう離れていないように見えるが。

「それで何をお求めですか?」

「近々幼馴染の誕生日パーティーがあって、それで何かプレゼントをと思いまして」

「フムフムなるほど。それでしたらこれなんかどうですか?」
 
オーナーはガラスケースの中から一つの髪飾りを取り出した。

「この髪飾りにはヘマタイトの宝石が埋め込まれています」

「へえ……珍しい宝石で手に入るのは難しいと聞きますが?」

「そうなんですよ〜。手に入れるのに凄く苦労しましてね、最近ようやく手に入ったんです」
 
オーナーは髪飾りを俺の手の中に置く。