ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.1

「うぅ……セシル……セシル!」
 
俺は泣きじゃくるミリィの背中をさすってあげた。

「大丈夫だ、ミリィ。セシルは必ず生きているよ」
 
そうだ。セシルは生きてる。きっと……どこかで。
 
俺はそう信じていた。だかその一ヶ月後、森の中で倒れているブラッドをミリィが見つけた。
 
ブラッドが生きていた事にホッとし、直ぐにブラッドに問いかけた。

「ブラッド。セシルを知らないか?」

「っ!」
 
セシルの名前を聞いたブラッドは、青ざめた表情を浮かべる。

「ブラッド?」
 
この時もっと早く気がつけばよかったんだ。ブラッドのあの表情を見た時に、セシルがもうこの世に居ない事に――
 
ブラッドは体を震わせながら言う。

「セシルは……死んだよ」

「えっ……」
 
俺たちの間で沈黙が漂った。俺の中でブラッドの言葉がぐるぐる廻る。

【セシルは……死んだよ……】

「っ!」
 
俺はブラッドの胸倉を掴んだ。

「セシルが死んだって、どういうことだよ!」
 
ブラッドは涙を流すと壊れた人形の様に何度も繰り返して言った。

「俺のせいだ……全部俺の……。俺のせいでセシルが、俺のせいで父さんと母さんが……俺のせいで、俺の……俺のせいでみんな死んだんだよ!!」 

「っ!」
 
ブラッドを責めるつもりはなかった。

でも納得行かなかった。どうしてセシルが死んだのか、小さかった俺は納得いかなかったんだ。