ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.1

「お前がなぜ魔法警察になったのかはおおよその検討が着く。だけどな、ミリィはセシルじゃないんだぞ!」

「……」

「ミリィをちゃんと見ていなかった俺も悪い。でもミリィが一番側に居て欲しいと思っているのは、お前なんじゃないのか?」

「……は?」
 
俺の言葉にレオンハルトは伏せていた顔を上げる。
 
その様子じゃ言葉の意味が理解出来ていないようだな。

「何で、俺に?」
 
その意味を俺が口にしたら意味ないだろ。

「それは後でじっくり考えろ。とにかく今はミリィを探すんだ」
 
俺はレオンハルトの隣を通り過ぎて、オフィーリアとミューズと一緒に先に行く。

「あ、あの……」

「ん?」
 
ミューズは聞きづらそうに俺に尋ねる。

「セシルさんと言う人はいったい?」

「……セシルは俺の妹だよ。もうこの世に居ないけどな」

「っ!」
 
俺は足早に歩きミューズの先を歩く。そんな俺に続くように、オフィーリアが隣に来てくれた。

「ブラッド……」

「心配すんな、オフィーリア。俺は大丈夫だから」
 
心配してくれたのか彼女は俺の手を握ってくる。それが温かくて俺はその手を握り返した。

✩ ✩ ✩

それからしばらくして、俺たちはミリィの行方を探した。だがミリィはどこにも見当たらず、気づけば日が西に沈みかけていた。

「何で見つからないんだ……」
 
俺たちはさっきの場所まで戻って来ていた。

「くまなく探したはずなのにおかしいです」

「やっぱり……人攫いに」
 
オフィーリアの言葉に座っていたレオンハルトが立ち上がる。

「ミリィを探すぞ」
 
レオンハルトは俺たちを置いて歩き始める。そんなレオンハルトを追いかけ肩に手を掛ける。

「ちょっと待てよレオンハルト! 少し休んだ方が」

「休んでいる暇なんてない!」
 
俺の言葉を聞かずレオンハルトは手を払い除けると先に行く。