ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.1

「オフィーリア! 早くミリィを探すぞ!」

「うん!」
 
俺の言葉にペンを動かしていた手をレオンハルトは止める。

「悪いレオンハルト! じゃあまた――」
 
【またな】と言いかけた時、レオンハルトに服の襟元を勢い良く引っ張られる。

「ぐぇっ!」

「ぶ、ブラッド?!」
 
思わず変な声が出てしまった。

「い、いきなり何をするんだ!」

「そんなことよりミリィを探すというのは、どういうことか教えてもらおうか?」

「あっ……」
 
俺はレオンハルトが怒っている事に気がついた。おそらくさっきの俺の言葉が原因だ。

「もう一度聞く。ミリィを探すってどういう事だ?」

「ちょ、ちょ〜と迷子になっていまして」

「それは今から何時間前の事だ?」

「多分三時間くらい」

「どこでミリィを見失った?」

「この先にある噴水通りで――」
 
まずい……俺が質問を応える度に、レオンハルトの表情がどんどん険しくなっていっている。これは心底怒っている証拠だ! 

「だ、大丈夫だって直ぐに見つか――」

「俺はお前にミリィの事を頼んだはずだぞ!」
 
レオンハルトはそう叫ぶと俺の胸倉を掴んできた。

「ちょ、レオンハルトさん!」

「ブラッド!」
 
ミューズとオフィーリアが間に入りかけるが俺はそれを手で制した。

「確かに俺はお前にミリィの事は頼まれたさ」

「お前ならミリィを一人にする事はないと思ったからだ。もし……もしミリィが攫われた何て事になったら!」
 
レオンハルトの言いたい気持ちは分かる。だが――

「レオンハルト。お前……まさかセシルとミリィを重ねているんじゃないよな?」

「っ!」
 
図星を指されたのかレオンハルトは俺から手を放すと二・三歩後ろに下がった。