ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.1

「レオンハルトが居るって知ってたらもう少し早く来たのに!」
 
ミリィは悔しそうにカフェの外を見つめる。

「早く来てもあいつ忙しいだろ?」

「私は! ……少しでも良いからレオンハルトと居たいの」
 
そう言ってミリィは寂しい表情を浮かべると瞳を揺らした。
 
ほんとレオンハルトの話をすると、急に恋する乙女のような愛らしい表情になるよな。

まったく羨ましい限りだ。

「通り魔は良いとして、ブラッドの欲しい情報ってなに?」

「悪いけどそれはミリィにも言えない」
 
これは俺個人が探しているものだから、ミリィに詳しく説明するわけにはいかない。もし話したとしても良い顔はされないだろうしな。

「ふ〜ん、まあ良いけど。ブラッドなら直ぐに捕まえられるでしょ?」

「もちろんさ。それじゃあ早速、裏路地に行こうとするか」

「えっ、今から行くの?!」

「当たり前だろ?」

とっとと捕まえて、今日中にレオンハルトの目の前に突き出してやる。

そうすればあの宝石の情報も手に入るし、俺の名前も街中に広がって、俺のところにはたくさんの依頼が舞い込んでくる。

そして女神たちもたくさん集まってくる。
 
そうなると一石二鳥……いや、一石三鳥か!

☆ ☆ ☆

カフェから出た俺とミリィは裏路地を歩いて行く。

「ねえ、本当にここであってるの?」

「ああ、俺の勘がそう言っている」

「ブラッドの勘なんて宛にならないじゃん」
 
ミリィは疑いの目を俺に向けてくる。