ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.1

「っ!」

「ブラッド、大丈夫?」

「な、何が?!」
 
頬が一気に熱くなるのを感じ彼女から目を逸らす。

「大丈夫なら良いですけど、少し様子が変だったように見えたから」

「そんなふうに見えたか?」

「はい」
 
別に何もなかったはずだけど、オフィーリアは何か変に思うところがあったようだ。
 
「心配してくれてありがとな。俺はこの通り大丈夫だからミリィを一緒に探そう」

「そ、そうだね」
 
俺は優しくオフィーリアの手を握って歩き出す。

「て、手は握るの?」

「ああ。迷子にならないようにな」
 
その言葉にオフィーリアは頬を膨らませてそっぽを向く。
 
さっきからこちらをチラチラ見て来る男たちが居るんだ。

オフィーリアは気づいていないようだけど、男たちはいつ彼女に声を掛けようかと様子を伺っているのだ。
 
そんな男たちに俺はニヤリと笑って見せて口パクで伝える。

「残念だったな」
 
そう言い終えると男たちは悔しそうな表情を浮かべた。
 
こう見えて好きな女の子には嫉妬深いのでね。変な虫が付いたら大変だ。

「どうしたの? ブラッド」

「いや、何でもない。早く行くか」
 
俺たちは都市の中央に向かって歩き始めた。

✭ ✭ ✭

「えっと……ここどこ?」
 
さっきまでオフィーリアと居たはずなのに、気づいたら見覚えのない場所に一人で来てしまった。

いや、分かってる。分かってるんだけど認めたくない。

「認めたくないよ……この歳になって迷子になるなんて」
 
ブラッドから都市中央区に用事があるって聞いて、丁度良いから買い物でもしようとオフィーリアを誘ったまでは良かった。