ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.1

「ほら、帰るよ!」

「ちょ、ちょっとまってくれミリィ! ちょっと寄りたいところがあるんだけど」
 
先に店から出ようとするミリィを呼び止める。するとミリィは更に怖い表情を浮かべるとこちらを振り返った。

「ひっ!」
 
そして踵を返すと俺の前まで歩いて来る。

「……なによ? 人に散々探させて見つけたと思ったら今度はなに? 事件か何かの捜査をしたいとか言わないよね?」

今まさにそう言いたいところなんだけど……これは下手に刺激したら糸がプツンと切れるかもしれないな。

「えっとぉ……その事件の捜査なんだけど、ちょ〜と付き合ってくれないか?」

「……」

ミリィは目を細めると俺を見下ろす。

「な、何か奢るからさ……」

「……」

更に目つきが鋭くなり俺は手を合わせて頼み込む。

「今度一日買い物に付き合うから! 頼む!」

「………………はあ」

ミリィは呆れたように息を吐いた。

「分かったよ。次は必ず買い物に付き合ってもらうからね」

「わ、分かった。荷物持ちだって何だってやってやる」

「よろしい。それで何の事件の捜査をするの?」

ミリィは前の席に座る。

「最近話題になってる裏路地の通り魔だ。さっきレオンハルトから依頼されて、生きて連れて来たら俺の欲しい情報をくれるってさ」

「えっ! レオンハルトがここに居たの?!」
 
やっぱりレオンハルトの名前にはえらい食いつくな。