ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.1

「で、でも数分だけでも私は、自分からあなたの体を抱きしめていたんですよね?」

「お、落ち着けオフィーリア! 俺は気にしないから!」

「わ、私が気にするんです!」
 
オフィーリアは近くにあった枕を持つと俺の顔面目掛けて投げてよこす。

「ぶふっ!」
 
い、いくら恥ずかしいからって、枕を投げることはないだろ……。

「ご、ごめんさない、ブラッド」

「な、何が?」
 
赤くなった顔面をさすりながらオフィーリアに目を向ける。

「た、多分、ブラッドをお兄様と勘違いしたんだと思うの……」

「っ!」
 
彼女の言葉が地味に刺さった。
 
そうだよな……じゃなきゃ自分から抱きしめてくる事なんて有り得ないか。

でも──

「オフィーリア」
 
俺は彼女の体を抱き寄せて言う。

「ブラッド?」
 
そして耳元で囁く。

「俺だって男だ。いつまでも俺をお兄さんと一緒にしないでくれ」
 
真剣な眼差しでそう告げる。

きっと今言わないと、この先も俺をずっとお兄さんと似ているから、と言う理由で片付けられてしまうかもしれない。

「俺をお兄さんみたく見てくれるのは嬉しいよ。でも俺だって男だから」
 
彼女の抱き寄せる手に力を込める。

「今度はそうじゃなくて、俺を一人の男として見てよ」

「……っ」
 
オフィーリアは驚いて目を丸くした。碧眼の瞳に俺の姿が映っているのが見え、俺は軽く微笑んで言う。

「だからこういう事は、俺以外の男には言わないでくれよ」

「……どうして?」

「ヤキモチ焼くから」

俺はオフィーリアから手を放して側から離れようとする。

「ぶ、ブラッド!」

「ん?」
 
オフィーリアは寂しそうにシャツの袖を引っ張ってきた。

その表情に俺は息を飲んだ。

「ど、どうした?」
 
顔に熱がこもり彼女から目を逸らす。

理性が飛ぶ一歩手前だってのに、そんな行動を取られたら。