「今日はぐっすり寝れるな」
 
そう思い目を閉じた時だった。

「ブラッド……」

「っ!」
 
後ろの方でオフィーリアの声が聞こえ、起こしてしまったのかと思い慌てて飛び起きる。

しかしオフィーリアは目を閉じたまま眠っている。

「ね、寝言?」
 
何で寝言で俺の名前を呼ぶんだ? 

ベッドから下りてそっと彼女の寝顔を覗き込む。するとその隙きにオフィーリアの手が俺のシャツを掴んだ。

「なっ!」
 
放してもらおうと彼女の手を掴む。

「行かないで……」

オフィーリアは小さくそう呟く。

「オフィーリア?」
 
まさか怖い夢でも見ているのだろうか? 

俺はオフィーリアを落ち着かせるため髪を優しく撫でる。そして起こさないようにベッドへと入る。

「俺はどこにも行かないから大丈夫だ」
 
彼女に微笑みかけ体を抱きしめる。
 
オフィーリアが安心出来るなら俺はずっとお前の側に居る。どこに居たって直ぐに駆けつけてみせる。
 
俺はそのままそっと目を閉じた。

☆ ☆ ☆
 
いつの間にか眠ってしまっていたのか、カーテンの間から差し込む朝日の光で俺は目が覚めた。

「んっ……」
 
ゆっくりと目を開くと目の前には、安心した表情を浮かべながら眠っているオフィーリアの姿があった。

「良かった……まだ起きてなくて」
 
先に起きられていたらこの状況をどう説明すれば良いのか分からない。それにミリィが来る前に何事もなかったようにしなければ。
 
オフィーリアの体から手を離そうとした時──

「いやっ!」

「うぐっ!」
 
今度は逆にオフィーリアが俺の体を抱きしめ返してきた。

「ちょっ! ちょっと待てオフィーリア!」
 
この状況は非常にまずい。

まだミリィが来る時間じゃないから良いけど、目が覚めたオフィーリアにこの状況をどう説明すれば良いんだ?!