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彼に魔剣の事を話すのは、流石にまずいと思いました。

彼女が心から信用している人物と言っても、彼にこの任を背負わせるわけにはいきません。
 
これについて彼は全くと言っていいほど無関係なのですから。ですがこの先、オフィーリアを守っていく為には魔剣の力は必須と言って良いでしょう。
 
なので賭けに出てみました。魔剣アムールをその手にした時、彼がどう見定めるのか。
 
そしてもしかしたら私たちの願いを、彼女に代わって成し遂げてくれるかもしれません。

『我らはエアと共に──』
 
あの方と交わした約束の為にも、早く私たちは集まらなければ。

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「クラウン様」
 
窓の外を眺めていた時、後ろの方から彼女の声が聞こえ振り返る。

「アルファの容態はどうかな?」
 
姿を現したベータは床に膝を着くと報告を始める。

「ただいま治療中でございますが、今後戦えるようになるには、しばらく時間が掛かるかと」

「そうか……」
 
その言葉に俺は軽く息を吐く。まさかあの彼が、あそこまで成長しているとは思っていなかったよ

「なら今度は君かガンマのどちらかに行ってもらう事になるかな?」

「はい」
 
今回アルファには十数年も姿をくらませていたオフィーリアの回収を頼んでいた。

それはここからそう遠くない位置で彼女の魔力を探知したからだ。
 
直ぐにアルファを向かわせたが想定外の事が起きた。

それが【彼】の存在だ。

まさかオフィーリアが彼と一緒に居るとは思っていなかった。