「分かった」
 
俺はレーツェルを見つめて言う。

「魔剣のことを話せないなら、俺がオフィーリアと同じ位置に立てばいい」

「ブラッド?」
 
レーツェルに歩み寄った俺は宣言するように言う。

「約束する。さっきの話しは誰にも言わない。エアの事もこの世界の真実も。だがその代わり俺がこの手で魔剣を手にしたら、その時は魔剣の事について話してくれ」
 
レーツェルは少し間を置いてから、頷くように刀身を前後に下げた。それを確認した俺は軽く笑う。
 
するとレーツェルは何かを言うようにオフィーリアに言う。

「えっ、それは言っていいの?」
 
首を傾げるオフィーリアにレーツェルは左右に揺れると自ら鞘に戻った。

「レーツェルは何だって?」

「ブラッドと一番相性の良さそうな魔剣の事なんだけど」

「俺と一番相性の良い魔剣?」
 
そんな魔剣が存在するのか?

「能力については言えないけど、その魔剣の名前なら言っても大丈夫そうよ」

「その魔剣の名は?」

「【魔剣アムール】よ」

「魔剣アムール……か」
 
初めて聞いた名前だった。てことは、まだ誰も手にしていない可能性があるって事だ。

「分かった。とりあえずその魔剣アムールを探すよ」

「あまり無茶しないでくださいね」

「ああ」
 
俺はオフィーリアの髪を優しく撫でた。