☆ ☆ ☆

「それで別件の事件って何だよ?」
 
女神たちと別れた俺とレオンハルトは行き着けのカフェへと入った。

「これを見てくれ」
 
店の子に紅茶を頼んだ俺はレオンハルトからある記事を渡される。

渡された記事を見下ろし軽く首を傾げた。

「裏路地の通り魔?」

「ここ最近多くてな。フードを被った謎の男が誰彼構わず人を襲っているようだ」

「……物騒だな」
 
それなら新聞にも大きく掲載されるはずだ。しかしこの記事は俺も見たことがなかった。

まだ正式に取り上げられていないのか?

「本当は今日の新聞にでも大きく掲載する予定だったんだが、レッドアイに表記事を全部持っていかれてな。仕方なく新聞の片隅に小さく掲載される事になったんだ」

「あ〜なるほど」
 
だからこの記事はこんなに小さいのか……って、おい新聞記者! 

俺の事よりまず通り魔の事件を優先して掲載すべきだろ!

「通り魔から逃げ切ることが出来た人たちに聞き込みをしたところ、通り魔はある人物を探しているらしいんだ」

「ある人物?」
 
記事をレオンハルトに返した俺は、タイミング良く運ばれてきた紅茶を一口すする。
 
通り魔が探している人物だろ? 

きっとそんな大した奴じゃないんだろな。ただ単に金物目当てで襲っている可能性だってあるわけで。

「通り魔は怪盗レッドアイを探しているそうだ」

「どうせ金物目当てで……って、怪盗レッドアイだって?!」
 
驚いた俺はそのまま勢い良く立ち上がった。
 
えっ、俺のこと探してるの? 

女の子になら追いかけられても良いけど、男に追いかけられるのは嫌なんだけど!

「そんな慌てることないだろ?」

「いや……だって」

「言いたいことは分かる。お前が追っているレッドアイが、裏路地で通り魔に襲われて死んだ、なんて記事は俺だって見たくないさ」
 
いや、そこは気にしていないんだよ! 俺は男に追いかけられるのが嫌ってだけで。