「あれ? どうして私こんなところに?」

「おはよう、オフィーリア。よく眠れたか?」

「……ブラッド」
 
オフィーリアはじっと俺を見つめた後、現状を理解したのか慌てて俺から離れた。

「ご、ごめんなさい! わ、私ったら!!」

「いや、いいよ。大丈夫だから」
 
本音を言えば、もうしばらく抱きついてくれてても良かったけど。

「私はずっと眠っていたの?」

「ああ。でもそれはお前が一番分かっているんじゃないのか?」
 
オフィーリアは少し考えてから小さく頷いた。

「悪夢も見なかったし、ブラッドの側なら安心して眠れるのね」
 
サラリとそんな事を口にされ頬に熱がこもる。彼女からしたら何とも思わない言葉なんだろうけど、俺からしたら飛び上がるほど嬉しい言葉だった。
 
本当に心から信頼されているんだと知れて、顔がニヤけそうになるのを堪える。

「と、とりあえず屋敷に帰ろう」

「でも屋敷はアルファのせいで」

「それは行ってみてのお楽しみだ」
 
そう言って立ち上がった俺は、オフィーリアに手を差し出す。

「ブラッド?」

「さあ一緒に帰ろう。オフィーリア」
 
オフィーリアは頬を少し赤らめると、迷うことなく俺の手を取った。

☆ ☆ ☆

「ねえブラッド。魔力の方は大丈夫なの?」

「まあな。体は少しだるいけど、髪の色も元に戻って今は安定してるかな」

「それなら良かった」
 
安心したオフィーリアはそっと胸を撫で下ろす。俺は横目で彼女の胸元にある、星の涙の様子を伺った。
 
星の涙は太陽の光に照らされ青々と輝きを放って見える。今のところ特に変わった様子はないし大丈夫そうだ。
 
そう思って軽く息を吐く。

「ブラッド?」
 
俺の視線に気がついたオフィーリアは小さく首を傾げる。その仕草が可愛くてまた頬に熱がこもる。

「な、なんでもない!」

「そう?」
 
なんか俺ばっか緊張していないか? 昨日はオフィーリアからキスしてもらえたけど……いや、本人はキスとは思っていないか。