しかしレオンハルトは気にする事なく言葉を続ける。

「違う。別件だ」

「別件? 他に事件なんてあったか?」

気になる事件は新聞やニュースを見て何件かチェックしているが、ここ最近で気になる事件はなかったと思ったが?

「ここでは話せない。とりあえずこの女性たちから離れたところで話をしたい」
 
レオンハルトは右手首に付いている時計を見下ろした後、横目で俺に来るように促す。

どうやら話す時間は限られているってわけか。だったらここは話を聞くだけ聞いてみるか。

と思った時だった。

レオンハルトの言葉に反発するように女神たちは声を上げて抗議を始めたのだ。

「そんなっ! あんまりですわ」
 
ある女神は嘘泣きをするように涙を浮かべ。

「わたくし……ブラッド様ともっと一緒に居たいですわ」
 
ある女神は俺たちを誘惑するように魅了し始めたり。

「嫌です! もしこのままブラッド様が行かれてしまったら、またいつ会えるというのですか?!」
 
ある女神は必死にレオンハルトに懇願する。
 
はあ……やっぱりモテるって罪だよな。

「おい、俺だって時間が限られているんだ。俺と話すよりその女性方と親睦を深めたいなら止めはしないが?」

するとレオンハルトは俺に背を向けて歩き出した。

「ちょ、ちょっと待てよ!」

本当はこのまま女神たちと更に親睦を深めたいところだが仕方がない。

俺は肩を落とし女神たちの方へ振り返る。

「ごめんね、みんな。あの人と大事なお話があるからこの続きはまたの機会にね」

「また来てくださる?」

「もちろん、この埋め合わせはまた後日に」
 
女神たちに優しく微笑んだ俺は、レオンハルトと共にその場から離れた。