俺は自分の手の平を見下ろし力を込めた拳を作る。

「元の体に戻れば普通の生活に戻れる。そうしたらきっと幸せに生きられると思った」
 
今思えばそんなこと無理に決まっているのにな。星の涙を手に入れたとしても、きっと俺はあいつらを倒す為に使っていたはずだ。

「……確かにこの星の涙はブラッドの願いを叶える事が出来るかもしれない。でも――」
 
オフィーリアは苦しい表情を浮かべて言う。

「この雫はブラッドの願いを叶えてはくれない」

「えっ……」
 
オフィーリアの言葉が俺に重くのしかかった。
 
そうだよな……そんな都合の良い話があるわけないよな。

「じゃあ何でそれをお前が?」

「それは……」
 
彼女は守護石にそっと触れると言う。

「私が最後のエアの末裔だからよ」

「っ!」
 
オフィーリアが最後のエアの末裔?!
 
その言葉を聞いてあの時の彼女の言葉が脳裏を過った。

【私のせいで……みんな死んだんだから】

【どうして私なの? どうしてみんな……私の前から居なくなるの?】
 
まさかエアの末裔だった人たちは、オフィーリアと言うただ一人の子を逃がす為に。

「十年前……私たちエアの末裔は、誰にも見つからない山奥で暮らしていた」

オフィーリアはゆっくりと話し始めた。