「おい……こんなところで何をやっているんだ 【ナンパ馬鹿】」

「な、ナンパ馬鹿だと!?」
 
そんな声が耳に届きイラッと来た俺は声のした方へと振り向く。
 
すると女性たちの輪をかき分けて、一人の男が俺の前に姿を見せた。

驚いた俺は目を見開いてその人物の名前を呼ぶ。

「れ、レオンハルト!」
 
仕事中だったのかレオンハルトは警察服を身にまとっていた。

その左胸ポケットには魔法警察であると証明するためのバッチが、太陽の光に照らされ輝いて見える。

それも魔法警察の中では優秀な者たちだけに与えられるバッチ――【魔道捜査一課のバッチ】だ。

「昼間からこんなところで人だかりが出来ていると通報を受けて来てみれば」

レオンハルトは呆れた顔をして俺を見てくる。

「人だかりって失礼だな。てゆか何でお前がここに居るんだよ? 通報を受けたからと言ってもこの辺りはお前の管轄じゃないだろ?」
 
女神たちから離れた俺はレオンハルトの前に立つ。
 
太陽の光に照らされて情熱に燃えるような赤髪に、その瞳で幾つもの難事件を追いかけてきた紫色の瞳。

そして俺も認めざるを得ない整った顔つきと、鍛え上げられた筋肉質の体格。

と言ってもそんなムキムキな体つきと言うわけではなく、女神たちが触っても少し驚くくらいの筋肉質だ。

「とある事件の捜査でこの辺で聞き込みをしていたんだ」

「とある事件……怪盗レッドアイのことか? ふっ……残念だったねレオンハルト君、あともう少しで捕まえられたって聞いたけど?」

俺はレオンハルトを見下すように笑う。