「ごめんなさい、ブラッド! 私はあなたに大怪我を負わせてしまった。そのうえ、私のせいでアルファに見つかって」
 
するとオフィーリアは子供のように声を上げて泣き始めてしまった。その光景を見た俺は目を瞬かせる。
 
きっと今まで泣く事が出来なかったのだろ。だからこうして子供ように声を上げて泣いている。

その姿を見て初めて愛おしいと思った俺は、オフィーリアの頭にそっと手を乗せる。

「大丈夫だって。こうして俺は生きているんだし、それに言っただろ? これは痛みの内に入らないって」
 
もちろん本音を言うと物凄く痛い。これでよく神の断罪を打てたと思うよ……。
 
そう思いながら治癒魔法を掛けようとした時――

「待って! 私にやらせて……」

「えっ?」
 
オフィーリアは胸の前で手を組み詠唱を始める。

「森の精霊よ、草木の精霊よ、私の声が届いたのなら応えておくれ」
 
するとオフィーリアの周りに精霊たちの光が集まり始める。

「すごい……こんなにたくさんの精霊たちが」
 
やっぱりこれは彼女がエアの末裔だからなのだろか? 精霊たちが彼女の呼びかけに応えるように周りを飛び始める。

「二つの力を一つの力に変え、汝の傷を癒やしたまえ」
 
二つの力が混ざりあった魔法はオフィーリアの体の中へと入り込む。そして優しい光が彼女の体をまとった。
 
オフィーリアはそっと俺の頬に触れる。それが何だか心地よくて俺はオフィーリアを見つめた。