アルファは悔しい顔を浮かべ逃げようとして空中浮遊を使う。しかし俺はそうはさせまいと、神の守りを張ってアルファを逃さないようにする。

「くっそぉ!!」 
 
アルファは空中から俺を睨み落とす。
 
今から魔法を放っても無理だと分かっているのだろう。

「今度戦う時は周りに気を配った方が良いぞ? あ、生きてればの話だが」

「──っ!」
 
俺は右手を空にかざし地面に向かって振り下ろす。

「罪を犯し罪人よ、神の裁きの鉄槌を受けよ!」
 
詠唱と共に魔法陣の輝きが増す。

「神の断罪(デウスコンビクシオン)!!」
 
魔法陣はアルファを挟み込むように二手に分かれる。

「くっそぉぉぉ!!」
 
二つの魔法陣の中から黄金の片腕がアルファに伸びていくと、アルファの体を挟み撃ちにした。

「凄い……」
 
神の断罪が空に向かって光の柱を作った時、アルファの姿はもう見られなかった。

「何とか片付いたかな?」

そう言って一歩前へ足を踏み出したとき体が揺れた。

「おっと……」

「ブラッド!」

とっさにオフィーリアが体を支えてくれて、何とか倒れずに済んだ。

「あっぶねぇ……。ありがとなオフィーリア」

「……」
 
オフィーリアは何も言わず顔を下に下げていた。

「オフィーリア?」

「……ごめん、なさい」

「えっ?」

彼女の顔を覗き込んだとき泣いている事に気がついた。それを見た俺は慌てた。

「な、泣くなって! お前のせいじゃないだろ?」

「違う! 私のせいです!」
 
オフィーリアは俺の服を掴むと一緒に座り込む。