するとちび太は分かり易く、笑顔に戻った。

マジで単純な生き物。



「じゃあ、帰って食べよ!」



「お、おう」



まあ、今日ぐらいはコイツに負けてやろう。



帰り道、珍しくちび太は色々な話をしてくれた。



時間帯のせいもあって、ケーキがどこも売っていなく何軒もはしごした事。

途中スマホの電源が切れ、マップが使えなくなり道に迷った事。

人生初めてケーキを買うため、注文の仕方が分からなかった事。



この日、初めて私達はお互いに笑い合いながら話をした。



それは、どこか温かく。



こんな日が続けば良いのになんて、柄にもなく思ってしまうほど。



そして、寮に帰って食べたケーキはやっぱり甘ったるかった。



でも、初めてその甘さが、嫌ではないと思った──