アイツはそう口にした後、反対側を向いて歩いていった。
「……っ、い、や……だ………っ!」
頭にまとわりつく最悪な過去。あたしを苦しめる。これからもずっと。
不自然に上がる息。自然に過呼吸状態に陥る。
「……何してるの?」
その時、後ろから聞こえた聞き覚えのある声。
「っ……瑠璃南……っ!?」
あたしの方を見ながら驚いている。でも、その中にあざけ笑うような黒い感情が渦巻いている事が分かる。
「こんなところにいるとぉいろんな人の邪魔になるよぉ?」
「うる、さい……っ」
あんたなんかに言われなくても分かってる。
「あ、そう言えばぁ、何で明光学園に戻ってきたのぉ?……あんたさぁ、本当に邪魔。」
いつものように人を小馬鹿にしたような目じゃない。しかも、最後はいつもよりも一段と低い声。