何をされても、もう抵抗なんてしなかった。するきも無くなったから。
あたしは一年間そこに監禁されていた。
でもある日、その日はやって来たんだ。
夜に寝ていたとき、物音がしてあたしは目覚めた。
そこで見た一つの人影。
小さめの背。長い髪。
その人影を見た後に気付いた。首につけられていた鎖がいつのまにか外れていることに。
「……え……あ、待って……っ」
あたしが声をかけると、すぐに逃げていく。
静かに素早く起き上がって、その人影を追いかける。
阪上兄弟の兄が居るから、なるべく物音をたてないで、外に出た。
久しぶりの外。綺麗な月。風を感じた。
ほんの少しだけ、外というものを思い出した。
あ、あの子のこと追いかけよう。
少し遠くに見える人影。
あたしはそれを追いかけた。


