後ろからは恋蘭が叫んでいる声が聞こえるけど、あたしはそれにはこたえないでひたすら走る。
「……ゼッ,ゼッ……っ!ハッ……」
それから数時間後、あたしはやっと目的の地についた。
山の中にも入っているから、すごく時間がかかった。
息が切れて仕方ない。足は震えているし、唾を飲み込むのも大変だ。
何分かそこで立ち止まって、息をととのえる。
「っ……。」
目の前にそびえ立つ小さな建物。
あたしが大嫌いな家。
その建物をシッカリ見据え、いや、見据えると言うよりは睨んでいるのかも。
ためらいながらもあたしは一歩一歩、足を歩み出す。
震えが止まらない。
あの時の記憶がよみがえってきて、怖くて仕方ない。


