哀神さん、頑張れ。眠るのは大変だろうけど、明日の為に力一杯寝て欲しい。



 偽善者とか好感度稼ぎとか、一握りの人達に思われている。だがどうでもいい。

明日の手術が成功したら、そんな戯れ言は過去の物になる。





 俺は3年前にネッ友を自殺で失った。

ほんとに呆気なく、彼女はこの世から姿を消した。

 救えた筈の命をむざむざ亡くしてしまった喪失感、絶望感はかなりの間に渡って俺を苦しめた。



 それから俺は、杉原千畝程の力は無くとも、この世に在る限り、1人でも多くの命を救いたいと思い立った。





 しかし野いちごでも同じような事が起きた。

絡んでいた詩作家の歌織さんが急に退会してしまったのだ。

彼女は、とても美しい響きの言葉を、素晴らしい技巧を凝らして詩編にする、希有な才能を持っていた。

まだまだ完成しているとは言えないが、今後の作品が非常に楽しみな作家さんだった。



 彼女の恋愛そのものを表しているであろう詩歌は余りにも哀しく、望みの無い物ばかりなのが気になっていたが、俺の詩を読んでくれていたから『好いた惚れた』で自らを儚んで……なんて事は無いだろうと、高(タカ)をくくっていた。



 でも彼女は自らの子供に等しいその作品達と共に、突然姿を消したのだ。



 俺は慌てて彼女を引き留めようと、何編か詩編を起こしたりもしたが、以後に何のリアクションも有りはしなかった。
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