周りには、ツリーの写真を撮る人や記念撮影をする人が何組もいる。 すぐそばでカシャッと音が鳴り、音の方を見ると、崇さんがスマホで撮影をしていた。 「今、何を撮りました?」 「もちろんツリーだよ」 崇さんは嘘くさい笑顔を向けた。 嘘です、と言っているようなものだ。隠し撮りをされた気がする。 「どうしてこっちにカメラを向けているんですか」 じろっと睨むようにして言うと、崇さんはすぐに謝った。 「ごめん。親父さんが見たいんじゃないかと思ってな」