自分の心のうちを人に見せることが苦手で、言いたくないと思ってしまった。


崇さんは返事をじっと待っている。


私は観念して息を吐き出した。息が白く染まる。


「クリスマスには、いい思い出がありませんから」


「親父さんがいないからか?」


「まあ、そうですね」


祝ってもらいたいときに、祝ってほしい人はいない。


私はやがて待つことを止めた。


「あ」


話しながら屋台をいくつか通り過ぎ、私は一つの屋台の前で立ち止まった。