少し焼き色はついているけど、焦げているわけではないので、たぶん許容範囲だ。 同じようにしてもう一度卵を流し、焼き上げた。 まな板にのせた卵焼きを見ていると、落ち着いたはずの目がじーんと潤んでくる。 「私に卵が焼けるなんて……」 奇跡だ。 炭のように真っ黒のかたまりではなく、きちんと黄色だ。 ところどころ茶色の焼き色はあるけど、おおむね黄色だ。 「うん、初めてにしては崩れなかったし、綺麗に焼けたな」 「ですよね、嬉しいです!」