「今、男子寮を見回っているのは僕1人だけだからそろそろ行くよ。じゃあね、紗久ちゃん」
先ほど私を足止めしていたことが嘘のように私の横をあっさり通り抜ける瑞希先生。
1人の生徒のわがままのためにかけてくれた魔法も、言葉の意味もその優しさに触れた時、嬉しさと暖かい気持ちで胸がいっぱいになった。
「み、瑞希先生!!ありがとうございます!!」
どんどん小さくなっていく背中にお礼を言うと、瑞希先生は右手を軽くあげて、ヒラヒラと答えてくれた。
悠の部屋まであと少し。
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