ドクンッ






心臓が大きく跳ねる。





玲桜のことにばかり気を取られてしまい今の状況についてあまり考えてなかったが、少しずつこの状況について自覚し始め、心臓が速くなり出す。






私今玲桜に抱きしめられているんだ。








「れ、玲桜……、あの、そろそろ……」






「…………まだいいだろ」







離れるように遠回しに催促しようとしたが、聞き慣れない、いや、聞いたこともないような甘い声に囁かれて思考が停止する。







な、何これ。




この状況は一体。








「しょ、しょーがないな、こ、今回、だ、だけだよ?」






玲桜にやられてしまい、何とか気丈に返事をするつもりが、カミカミな上に変な声での返事。






クククッとそんな私を見て笑いを堪えながらも、肩を小さく揺らす玲桜に恥ずかしい感情と怒りの感情が混ざりフツフツと湧き上がってきた。